追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
マドレーヌは二年かかる物語を、半年でクライマックスまで持っていくことに成功した。
そのことで力不足になってしまったのだろうか。
そのクライマックスですら、うまくいかなかったことを思い出す。
フランソワーズの断罪する場面でも彼女がナイフではなくスプーンを持つまではうまくいっていたのに。

(どうしてあんな風に笑ったの?今までは原作通りのフランソワーズだったのに……!)

フランソワーズに騙されたような気分だった。
マドレーヌは悔しさや腹立たしさから涙が込み上げてくる。
手のひらを爪を食い込むほどに握り込んだ。

今までマドレーヌは、悪魔祓いのことに関してはあまり勉強してこなかった。
早く実績を出そうと弱そうな悪魔をたくさん祓っていたからかもしれない。
それが逆に仇となってしまったようだ。
自分が何故か原作のマドレーヌよりもずっと力が弱いことにはなんとなく気づいていた。
けれどそれも時間が解決すると思っていたのに。

(ずっと祈り続けるなんて退屈で馬鹿みたい……早く宝玉なんかなくなっちゃえばいいのにっ!)
< 158 / 204 >

この作品をシェア

pagetop