追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
ステファンは悪魔に乗っ取られることなく、オリーヴも生きているということなのだ。

(あの女……勝手なことばかりして!なんでっ、なんでわたしよりも幸せを掴んでいるのよ!)

マドレーヌはこんな国をさっさと捨てて、フェーブル王国に行きたいと強く思うようになった。
そしてマドレーヌのカサついた唇が弧を描く。

マドレーヌはその瞬間、聖女の力を使って宝玉に祈ることをやめた。
正確には祈っているフリをして、これからのことを考えていた。
もうここまで侵食してしまえば、悪魔の宝玉を止めることは今のマドレーヌにはできないだろう。

(逆に宝玉を真っ黒にして、この国から出ていくチャンスを作ればいいのよ。確か物語のフランソワーズは怒りや憎しみをぶつけて宝玉を黒く染めていたのよね……フフッ、わたしもそうしてやるわ)

この国に見切りをつけてフェーブル王国に行く……それしか幸せになる道はないと思った。
マドレーヌはどうせここから出られない。
夜中、令嬢が王妃が休んでいる時に、ひたすら怒りや憎しみをぶつけていく。

(わたしがこの物語のヒロインなの……!今度こそフェーブル王国で幸せになってやるわ)





(マドレーヌside end)
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