追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズの申し出にステファンは目を大きく見開いている。
今、ステファンを不安にさせない方法はこれしか思い浮かばない。
それに彼となら幸せの未来を築いていける。
そう思うには十分な一カ月間だった。


「このまま放っておくと間違いなく、フェーブル王国にまで影響を及ぼしてしまします。ステファン殿下、シュバリタイア王国に行かせてください!」

「……!」

「わたくしはフェーブル王国を守りたいのです」


ステファンはフランソワーズの気持ちを理解してくれたのだろう。
シュバリタイア王国を救いに戻るわけではない。
フランソワーズはフェーブル王国を守るためにシュバリタイア王国に行くのだ。
フランソワーズが彼に訴えかけるように見つめていると、ステファンは俯いた後に小さく頷いた。
そしてフランソワーズの左手を握りながら返事を返す。


「僕もフランソワーズと共に行くよ」

「え……?」

「僕は君を守ると決めたんだ」


ステファンは力強い声でそう言った。
手を取ると、そっと左手の薬指に口付ける。
フランソワーズもステファンがいてくれたら心強いと思った。
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