追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
「フランソワーズ、絶対に帰ってきてね」

「えぇ、もちろんよ」


彼女は泣きそうになりながらも、フランソワーズを抱きしめた。

フェーブル王国を出て、シュバリタイア王国に近づけば近づくほど、不気味な黒い雲が広がり空は暗くなっていく。
国境を越えると、辺境の街は見るも無惨に荒れ果てていた。
建物は壊れて、そこら中から煙が立ち昇っている。
まるで戦地のような光景だっが、人はおらず静まり返っていた。

(どうしてこんなひどいことに……?)

フランソワーズが婚約破棄をされて、フェーブル王国に向かおうとステファンと共に移動していた際に立ち寄った街も今は見る影もない。
まるで別の場所のようだ。

そしてフェーブル王国からついてきた騎士たちにも影響が及んでしまう。
なんと夜になると突然、剣を振り回して暴れ回ったのだ。
ステファンたちが食い止めるものの、まるで声が届いていないようだった。
フランソワーズは聖女の力を使って騎士を鎮めたが、間違いなく宝玉の影響を受けているのだと思った。

(街の人たちもきっと影響を受けているんだわ……!)
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