追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
マドレーヌは宝玉の話を聞いて、表情が明るくなり自信満々に話している。
たしかに物語のマドレーヌは、聖女としての力で危機を脱して、悪魔の宝玉は砕け散ってなくなったことでシュバリタイア王国が平和になった。

だが、今のマドレーヌにそれができるとは思えない。
彼女は周囲の人たちを掌握することに忙しく、聖女の力や宝玉については何も勉強していないはずだ。
小説のマドレーヌは困った人たちを救おうと勉強熱心で、心優しい少女だったことを思い出す。

(何もしていなくても、小説通りにすれば大丈夫だと思っているんでしょうね)

シュバリタリア国王や王妃は今はこの場にいない。
セドリックにこのパーティーを任せて別室に待機してる。
このパーティーは十八歳になるセドリックの力量を試すための場でもあるのだ。

(だからこそこのタイミングを選んだのね。国王陛下と王妃陛下はわたくしがいなくなってからどうするのかしら。彼を庇う? それとも……もうどうでもいいけど)

フランソワーズは、フッとマドレーヌを見て鼻で笑う。
それにフランソワーズの父と母も会場でこちらを見ているにもかかわらず、フランソワーズを助けようともせずに黙ったままだ。

(やっぱりマドレーヌの味方なのね……わかっていたことだけど)

フランソワーズの心がズキズキと痛むような気がした。
この会場で、フランソワーズを庇う声は一つも聞こえない。
< 18 / 204 >

この作品をシェア

pagetop