追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズは教会に立ち寄りながらなんとか過ごしていた。
教会には近づけないのか、中に逃げ込んだ人たちは無事だったようだ。
食事と寝る場所を提供してもらいながら王都を目指した。
恐怖に怯える人たちを見て、フランソワーズの心は大きく揺さぶられていく。
フランソワーズが宝玉を穢そうとした時は、ここまで大きな影響は出ていなかった。

(急がないと……時間はあまりないみたいね)

イザークやノアに力を込めつつ、ステファンのおかげで街を抜けることができた。
王都に近づくに連れて、昼も夜も関係なく暴れ回っている。
暴徒化した街の人たちを傷つけることなく、意識を失わせていく。

四人で馬に乗り、街から街へと移動していく。
フランソワーズだけだったら、シュバリタイア王国の王都まで辿り着くことは不可能だったかもしれない。

五日後、なんとか王都を抜けて城へと到着した時には城の上に明らかに不自然な暗雲が立ち込めていた。
城の床には、倒れて意識を失っている人たちがたくさんいた。
赤い絨毯の上にはガラスの破片が散らばり、窓は割れて生暖かい風が吹き込んでくる。
城の壁もところどころ、ひび割れていて今にも崩れ落ちそうになっていた。
シュバリタイア王国は崩壊寸前。フランソワーズはその景色を見て絶句していた。
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