追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
そんな中、シュバリタイア国王や王妃が傷だらけで立ち尽くしている姿が見えた。
フランソワーズと目が合うと泣き叫びながら、こちらに駆け寄ってくる。

しかしそれをステファンやイザーク、ノアが剣を向けて制す。
二人は剣を見て、引き攣った声を出して足を止めた。
ステファンはシュバリタイア王国を救う条件やフランソワーズのことについて確認しているようだ。
シュバリタイア国王と王妃は何度も何度も頷いている。

二人の後ろからセドリックはフランソワーズを見て目を見開くと「フランソワーズ……俺のためにっ!」と、嬉しそうに歩いてくるではないか。
フランソワーズが一歩、後ろに下がるとステファンがセドリックに剣を向ける。


「ヒッ……!」

「フランソワーズに近づくな。二度はない」


ペタリとその場に座り込んだセドリックは頭を抱えている。
地面に額を擦り付けながら「助けてくれ」と壊れた機械のように繰り返していた。
自分の行いを心から反省しているようにも見えるが、保身のためだろう。
倒れている人たちを気にしていないことがその証拠だ。

三人の精神状態はとても悪いように見える。
王妃は二人に力を使い正気を保っているようだが、それすらもギリギリに思えた。
王妃は乾いた唇を開いて現状を説明しはじめた。
今はなんとマドレーヌに宝玉がある部屋から締め出されてしまったそうだ。
そして、中に入れずにいるらしい。
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