追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜

「マドレーヌは宝玉を聖女の力で浄化するのではなく、穢しているの……!」

「他の聖女たちはどうしているのですか?」

「……っ、もう何もかも手遅れなのよ!」


王妃は限界が訪れたのだろうか。そのまま泣き崩れてしまった。
城の中には重苦しい空気が満ちていた。
フランソワーズは三人の隣を通り過ぎて、宝玉が置かれている場所まで歩き出す。

(まさかこんな風になってしまうなんて。わたくしにどうにかできるのかしら……)

フランソワーズは胸元でギュッと手のひらを握った。
正直、この状況を見て不安で仕方がない。
けれど、どうにかして食い止めようとフランソワーズは宝玉の間へと足を進める。
部屋に近づくたびに凄まじい圧迫感に足が竦む。
けれど前進みつつも取っ手に手をかけるが、扉が開かないことに気づく。
ステファンが不思議そうにフランソワーズに声をかける。


「フランソワーズ、どうした?」

「扉が開かないんです……!」

「……扉が?」


ノアとイザークが扉を押すが、二人がかりでも開かないようだ。
ステファンが取っ手に触れても同じだった。
先ほど王妃が言っていた『入れない』という言葉が頭がよぎる。
どうやら力ずくでも扉は開かないようだ。
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