追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
(力では扉は開かない……なら、わたくしがやるしかない!)

フランソワーズは扉の取っ手を握りながら目を閉じた。
国全体に影響を及ぼすほどなのだから当たり前だが、その力はステファンたちに憑いていた悪魔よりもずっと強いのだろう。
いつも宝玉を浄化するように力を込めると、パキッと何かが割れる音が聞こえた。
フランソワーズが瞼を開けると同時に扉が開いていく。
ステファンが扉に手を掛けた瞬間、凄まじい風が吹き込んでくる。


「きゃっ……!」


足がもつれそうになるのをステファンが片手で腰を支えてくれた。


「フランソワーズッ……大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます!」


ノアとイザークと共に、なんとか部屋の中に入ると暴風がピタリと止んだ。
フランソワーズは顔を上げるとそこには宝玉に手を当てて、泣きながら笑っているマドレーヌの姿があった。
その目は赤く血走っていてガタガタと震えているように見える。
ステファンとは違う模様ではあるが、彼と同じように体中、真っ黒なアザが覆い尽くしている。


「タ……スケ……テェ……ッ」
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