追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
ステファンのおかげで、いつもフランソワーズがいつも祈っていた位置まで辿り着くことができた。
宝玉はほとんどが黒く染まっている。
上部のわずかな部分だけが透明だが、それも時間の問題だろう。

(…………やるしかないわ!)

そしてフランソワーズはいつものように跪いて手を合わせた。
背後ではステファンがフランソワーズが吹き飛ばされないように支えてくれている。
ノアとイザークも暴れるマドレーヌを必死に抑えてくれていた。

フランソワーズが意識を集中させるとキーンという頭が割れそうなほどの高音が響き渡る。
耳をつんざく音と共に背後からは悲鳴が聞こえた。
マドレーヌが地べたをのたうち回って苦しんでいる。
どうやらフランソワーズの祈りは、まだ悪魔の宝玉に届くようだ。

集中して手を合わせていると次第に風が弱まっていくのを感じていた。
フランソワーズは更に力を込めて祈りを捧げていく。

(いつもよりも宝玉を抑える力が強いような気がする。どうしてかしら……)

長い時間、祈り続けることで宝玉を守っていた。
しかし、今は長時間祈らなくても力が宝玉に届いている確かな手応えを感じていた。

(……どうしてこんな風に〝フランソワーズ〟の力が強くなっているの?)
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