追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜

塔の最上階で宝玉を守り続けているフランソワーズは、表立って何もしていないように感じるのだろうか。
実際、曇りや雨の日、新月の日などは悪魔の力が強まる日だと言われている。
そんな時、フランソワーズは一日中、部屋に篭りっぱなしだった。
そんな過酷な労働環境の中でも妃教育やパーティー、お茶会などにも参加しなければならないのだからたまらない。
その苦しみをわかっているはずの王妃ですら、フランソワーズに任せきりで今までの分の我慢を発散するように遊びまくっている。
フランソワーズは、このまま婚約破棄されなければ過労死してしまっていただろう。


「他にも言いたいことはありますが、わたくしはセドリック殿下のお言葉に従いますわ」

「なっ……!」

「婚約の破棄でしょう? お父様も異論はないようですし、お受けいたします」


ザワリと湧き立つように会場からは声が上がる。
フランソワーズの行動を不思議に思うのも無理はない。
先ほどまで、フランソワーズは自分の身の潔白を証明しようと抵抗していたように見えたことだろう。
それなのに今度はセドリックから伝えられた処遇を受け入れたのだ。
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