追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
そんなフランソワーズの手の甲を包み込むようにして、ステファンの手のひらが重なる。
フランソワーズは目を閉じて互いの無事を確かめ合っていた。

宝玉があった部屋から出ると、シュバリタイア国王や王妃、セドリックは唖然としていた。
灰になった宝玉を見て、どうやら脅威が去ったことは理解できたようだ。
三人は涙を流して喜び、手を合わせている。
セドリックに名前を呼ばれたような気もしたが、フランソワーズは無視して、その場を通り過ぎた。

フランソワーズはすぐにフェーブル王国に帰ることを提案する。
それはステファンからの圧が凄まじかったのもあるが、これ以上ここにいる必要性は感じなかったからだ。

城から出ようとすると、廊下には久しぶりに見る父親、ベルナール公爵の姿があった。
どうやら城で倒れていた中に、ベルナール公爵もいたようだ。

(マドレーヌを部屋から出るように説得でもしていたのかしら)

マドレーヌは灰になってしまったが、倒れていた人たちには影響はないらしい。
ステファンやオリーヴが呪いを受けた時と同様に、マドレーヌも悪魔の宝玉に触れてしまい呪われたのかもしれない。
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