追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
ベルナール公爵はフランソワーズの行手を阻むように立ち塞がる。
しかしノアとイザークが前に立ち、ステファンもフランソワーズを庇うように前に立つ。


「お前は最高の娘だ! やりなおそう。私たちなら最高の親子に戻れるはずだ。そうだろう?」

「……失礼します」

「待ってくれ! フランソワーズッ」


フランソワーズは目を合わせることなく、その場を立ち去った。
今更、ベルナール公爵の言葉がフランソワーズの耳に届くことはなかった。

(驚きだわ……まさかお父様がこんな風に縋ろうとしてくるなんて)

フランソワーズは嫌悪感に身震いした。

フェーブル王国に帰る途中、街を巡っていたが人々は正気を取り戻したことに安堵していた。
今は壊れた街の復旧や怪我人の手当てに忙しそうにしている。
教会でフランソワーズたちに食料や寝る場所を提供してくれた人たちは、涙ぐみながら感謝していた。
人々が正気を取り戻したのを確認してフランソワーズたちが国を救ってくれたのだと確信したようだ。
フランソワーズを『救世主』と称えて、お礼を言う人々で溢れかえっていた。

フェーブル王国に到着すると、先に国に戻っていた騎士たちに事情を聞いたオリーヴやフェーブル国王、王妃たちが門の前で出迎えてくれた。
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