追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
自身の欲望のまま動いたマドレーヌに幸せは訪れることはなかった。
ステファンはフランソワーズに出会わなければ、完全に悪魔に乗っ取られてしまいマドレーヌのようになっていた可能性が高いということになる。

(ステファン殿下が無事で本当によかった……)

フランソワーズはステファンを救い、ステファンはフランソワーズを助けてくれた。
あの場で国外に出ようと思った自分の選択が正しかったのだと思わせてくれる。


「もしあのタイミングでフランソワーズに出会えなかったと思うと恐ろしいよ」

「……わたくしもステファン殿下とオリーヴ王女殿下を救えて心からよかったと思っています」

「だけどまさかフランソワーズが宝玉を破壊してしまうなんて驚きだったな。とても強い悪魔だったのだろう?」

「わたくしも驚きでしたわ。まさかこんなことができたなんて……」


フランソワーズは自分の手のひらを見つめていた。
ずっと祈りを捧げて宝玉を守ってきたのだが、まさか壊せるほどに力が強まっていたとは驚きである。
ステファンに憑いていた悪魔やフェーブル王国の悪魔を祓っているうちに、知らず知らずの間にフランソワーズの力が強まっていったのかもしれない。
無意識に物語のマドレーヌと同じことをしていたので辻褄が合っているといえるだろう。
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