追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズが頷くと、ステファンのエスコートを受けて騒がしい会場を抜けていく。
二人でバルコニーに移動した。

涼しい夜風が二人の間をすり抜けていく。
フランソワーズの髪が乱れると、ステファンはそっと耳にかける。
フランソワーズもステファンの夜空のような黒髪を撫でて、整えながら二人で笑い合っていた。


「フランソワーズが魅力的すぎて誰かに取られてしまうのではと心配してしまうよ」

「ありえませんわ」

「会場で君の美貌がどれだけ視線を集めていたか知らないだろう?」

「……そんなことないと思いますけど」

「はぁ……フランソワーズは自分の魅力をわかっていないんだ」


こうして常にフランソワーズを心配しているステファンは随分と過保護になってしまった。
しかしフランソワーズはステファンしか見ていない。
フランソワーズはステファンの頬を両手で挟むようにして目を合わす。


「わかっていないのはステファン殿下の方ですわ」

「え……?」


そう言ってフランソワーズはステファンの唇に触れるだけのキスをした。
一瞬ではあったが、やはり自分からするとなると恥ずかしい気持ちが勝る。
ステファンはフランソワーズの行動に驚いているのか大きく目を見開いていた。
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