追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズは、今日という日が待ち遠しくて仕方なかった。
マドレーヌの計画をひっくり返せたのは清々しい気分だ。

フランソワーズは城にあるフランソワーズ専用の部屋へと足を踏み入れる。
ドレスを脱ぎ捨ててから、簡易的なワンピースに着替えた。
今日のために自分で着脱可能なドレスにしたり、侍女たちの手捌きを見て脱ぎ方を学んでおいて正解だったといえるだろう。

(早く準備をして外に出なくちゃ……!)

この日のために準備していた大きなカバンを背負い込んでいく。
ヒールから歩きやすい編み上げのブーツを履いてからフランソワーズは部屋から顔を出す。
人がいないことを確かめてから部屋を出る。
このまま裏口を使って、外に出ようとした時だった。


「どこにいくんだい? フランソワーズ嬢」

「……ッ!」


あまりの不意打ちにフランソワーズの肩は大きく跳ねる。
シトラスの爽やかな香りが鼻を掠めた。
声がした方に視線を向けると、艶やかな黒髪がサラリと流れている。
サファイアのような青く透き通った瞳が細まったのを見て、一目で誰かわかってしまった。
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