追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
セドリックはマドレーヌの肩に手を置いて、彼女を守るように抱き込んだ。
そんな二人のくだらない茶番劇を見つめながら、フランソワーズは思わずため息を吐く。


「はぁ……」

「やはりマドレーヌの言う通り、危険分子は処分しなければ。これ以上、彼女を傷つけるなら容赦はしないぞ」

「そうですか」


その後も何を言ってもまったく動揺する様子がないフランソワーズを見て、セドリックの顔には焦りが滲む。
マドレーヌも不可解な面持ちでこちらを見ていたが、フランソワーズは表情一つ動かさない。


「お前は自分のやったことが、どれだけマドレーヌを傷つけているのかわかっているのか!?」

「いいえ、覚えがありませんわ」

「……いい加減にしろっ! フランソワーズ、お前を国外に追放してやる!」


セドリックは叫ぶように言った。
事実、フランソワーズはマドレーヌを虐げてなどいない。
本来の物語ならばそうなるはずだった、というべきだろうか。


「わたくしがマドレーヌにそのようなことをする理由はございませんわ。それにわたくしは宝玉を抑えるために、祈りの間でずっと祈りを捧げておりました」

「──黙れっ! 何人ものベルナール公爵家の侍女や令嬢たちが証言している。言い逃れはできないぞ」
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