追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
ステファンの条件は今、フランソワーズが一番欲していたものだった。
一人で街に出るということは、それなりの覚悟が必要だと思っていたからだ。
しかも彼の条件は、フランソワーズの国を出たいという目的も達成できてしまう。
ステファンの申し出にフランソワーズの心が揺れ動く。


「それに、事が落ち着くまではそうした方がいいのではないか?」

「それは……そうですけれど」

「今よりもいい暮らしを約束するよ。フェーブル王家はフランソワーズ嬢を賓客として歓迎する」


ステファンの甘い言葉に流されるまま、フランソワーズは馬車に戻る。
ステファンの言うことも一理あると思ったからだ。
馬車の中に戻り、フランソワーズはホッと息を吐き出した。
再び馬車は動き出す。

(このままじゃ国を出るまでに歩いて何週間もかかってしまうもの……このまま隣国に行けるのならありがたいわ)

シュバリタリア王国から出るために、ステファンの手を借りることを決めた。
しかしその前にフランソワーズはステファンに聞かなければならないことがあった。


「その前に黒いアザやステファン殿下のことについて教えてください」

「……」

「先ほど救ってほしい……と言っていましたが、何か事情があるのでしょうか?」
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