追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
気まずい雰囲気の中、話を続けるためかステファンは咳払いをする。


「妹は幼い頃、突如として不治の病に侵されていたんだ」

「……王女殿下が?」


フランソワーズもステファンの妹、オリーヴが病弱であることは知っていた。
表舞台に出てくることはないオリーヴ。
そして先ほどステファンが『オリーヴを救える』と言っていたことを思い出していた。


「オリーヴの病をどうにかできないかと、治療法をずっと探していた。城の地下にある古い書庫にヒントがないかと思っていたのだが……」

「……」

「ある本に触れた途端、僕までこのようになってしまったんだ」

「まさか、その本が?」

「ああ……そうなんだ」


最初はアザか汚れかだと思ったそうだ。
徐々に広がる奇妙なアザを見て『悪魔の呪い』ではないかという結論に至ったそうだ。
そして後々、わかったことだそうだがオリーヴも病にかかる前、書庫に忍び込んで遊んでいた際にその本に触れたことがあるということだった。


「その本は今どこにあるのですか?」

「城の地下室に誰も触れられないようにしている」

「……!」


フランソワーズはそれを聞いて眉を顰めた。
地下にあるということは、本は光に触れていないということだ。
それに闇にあるほど、悪魔の力が強まってしまう。
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