追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
その間、馬車の中でフランソワーズはステファンとの時間を過ごしていた。
ステファンはフランソワーズを怖がらせないようにと、丁寧に接してくれた。
紳士的で身の危険を感じることはなかったし、彼はフランソワーズの気持ちを一番に考えてくれた。

あっという間の五日間だった。
移動時間では会話は弾んでいて退屈を感じることはない。
彼とも随分と打ち解けたように思う。
ステファンに『フランソワーズ』と名前で呼んでもらうように頼む。
彼がフランソワーズ嬢と呼び続けることに違和感を感じたからだ。


「わたくしは、今はただのフランソワーズですわ」

「……ならフランソワーズと呼ばせてもらうよ。僕のこともステファンと呼んでほしい」

「それはできませんわ! 大国の王太子ですのよ?」

「だけどフランソワーズにはそう呼んでほしいんだ。もっと君と親しくなりたいんだ」

「……か、考えておきます」

「うん、ありがとう」


短いけれど、濃密な時間だった。
話せば話すほどにステファンに好感を持っていく。
彼の誠実さや国民や側近である二人、そして家族を大切に思う気持ちを聞きながら、セドリックや国王、ベルナール公爵たちと比べてしまう。
フランソワーズは、ステファンを尊敬していた。
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