【受賞しました】追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
(とりあえずどんな格好だとしても挨拶はしないと……!)

ワンピースのままカーテシーを披露する。
フランソワーズがどんな格好をしていたとしても洗練された仕草は周囲を圧倒させるには十分だった。
滲み出る美しさに目を奪われる中、フェーブル国王たちが前に出る。


「よく来てくれた。フランソワーズ嬢」

「このような格好で申し訳ございません。お会いできて光栄ですわ」

「事情はステファンから聞いている。大変だったな」

「恐れ入ります」


フランソワーズはそう言って頭を下げた。
フェーブル国王は複雑そうな表情でゆっくりと頷いている。
王妃もフランソワーズの格好を見てか、涙ぐんでいる。
ステファンがフランソワーズのことをどう伝えたのか詳しくはわからないが、大袈裟に伝えたに違いない。


「フランソワーズ、長旅で疲れていると思うのだが……その…………」


フェーブル国王は気まずそうに頬をかいていた。
隣にいる王妃は「休ませるべきよ。何日も旅してきたのだから!」とフェーブル国王に訴えかけるように言っている。


「しかしオリーヴが……!」

「わかっているけれど、フランソワーズに無理をさせるべきではないわ」
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