追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズが笑みを浮かべていると背後から声がかかる。


「フランソワーズ、長旅で疲れているのにすまない」

「いえ。ステファン殿下と同じで、お二人もオリーヴ王女殿下が心配なのですわよね? わたくしができることならばお手伝いいたしますわ」

「……!」

「お気遣いありがとうございます。ステファン殿下」

「フランソワーズ……」


ステファンのフランソワーズを見る熱い視線に気がつかないまま足を進めていく。
いつものステファンを知っている人たちが見れば、彼がフランソワーズに抱く特別な感情をすぐ察することができた。

フランソワーズは、深紅の質のいい絨毯と豪華なシャンデリアがある玄関をぬける。
長い長い廊下を進み、階段を上がっていくと可愛らしい白い扉があった。
オリーヴの部屋の前には、複数人の白衣を着た男性が立っている。
彼女を診ていた医師たちなのだとすぐに理解できた。
その表情は暗く、切羽詰まったものだとわかる。

フェーブル国王たちに続いて、ステファンとフランソワーズもオリーヴの部屋へと足を踏み入れる。
広い部屋には天蓋付きのベッドがあった。
温かみのあるクリーム色の壁紙。
可愛らしい小物や花瓶に生けてある花は部屋を彩っている。
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