追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
代々、王妃になる者は聖女としての力が強いことがもっとも重要視される。
王妃は国にとって大切な役目を担っているため、その令嬢を排出した家には名誉と様々な恩恵が与えられるのだ。
現王妃は伯爵家出身だったが、今では侯爵を賜っている。
そのため、跡を継ぐ男児も大切だが、聖女の力が強い令嬢も社交界では重宝されていた。

フランソワーズは元々聖女とがとても強く、父の厳しい教育によって更に力をつけた。
その力は次第に歴代で最高と言われるほどに増幅している。
普段ならば国中の令嬢たちも力を合わせて、王妃と共に代わる代わる祈りを続けながら悪魔を抑えらなければならなかった。
だが、フランソワーズはたった一人でそれをこなすことができた。

国王や王妃に完璧だと称されるほど完璧な『祈り』を行なっていたのだ。
フランソワーズが十二歳の時にセドリックの婚約者になってから五年間、一人で祈っていたが宝玉は真っ白のままだ。
それはフランソワーズの自由な時間と引き換えだった。
五年もその状態が続けたためか、フランソワーズが一人で祈ることが当然になりすぎていたように思う。
重い負担を一身に引き受けていた彼女を労う言葉はなくなっていく。

それでもフランソワーズは何も言わなかった。
祈っている時だけは何もかも忘れられるからだ。
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