追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズは眩しい光に瞼を開く。
ハッキリと意識を取り戻したのは明け方だったようだ。
肌寒さを感じていたが、ぼやけた視界で本が置かれていた場所を見る。
目の前の本はいつの間にか灰になって積み上がっているのが見えた。

(よかった。わたくしにもできたのね……!)

フランソワーズはホッと息を吐き出した。
知識だけでしか知らなかったが、どうやらフランソワーズにも悪魔が祓えるようだ。
そのことに安心して立ちあがろうとするが、足がもつれてしまいそのまま倒れ込んでしまう。


「いっ……!」


フランソワーズはビリビリと痺れた足に身悶えていた。
足の感覚はなくフランソワーズは荒く息を吐き出しながら痛みに耐えていた。
少しずつ血液が全身を駆け巡る感覚に、ゆっくりと息を吐き出していく。

(もしかして……かなり長時間、祈っていたのかしら)

意識を取り戻すのと同時に体が重たくなる。
喉が渇いてたまらないが、初めて悪魔を祓えたことで気分が高揚していた。

(ステファン殿下やオリーヴ王女殿下は無事なのかしら。一応、元凶は消えたから大丈夫だと思うけど心配だわ)

フランソワーズが倒れつつボーッとして動けないでいると、外から焦ったような声が聞こえてくる。

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