追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
ここ数日で、ステファンの色々な表情を目にしているような気がした。
無事を確かめるように触れている彼の手に、手のひらを重ねるようにして這わせた。


「フランソワーズ、大丈夫か?」

「……は、い」


フランソワーズは頷くと、次第に視界がぼやけていく。
そのまま意識を失うように眠りについた。


どのくらい時間が経ったのだろうか。
次に目が覚めた時にも窓の外は明るく、太陽が輝いていた。
フランソワーズはズキズキと痛む頭を押さえながら、起き上がるとシーツが抑えられている感覚がして視線を向ける。
黒い艶やかな髪が真っ白なシーツに散らばっていた。
ステファンがベッドにうつ伏せになるようにして眠っている。

(どうしてここにステファン殿下がいらっしゃるのかしら……)

もしかしたらフランソワーズに付き添ってここにずっといたのかもしれない。
それを裏付けるように、サイドテーブルには本や資料が置かれていた。
フランソワーズは起こさないようにとベッドに足を下ろす。
テーブルの上に置かれたウォーターポットからコップに水を入れてゴクゴクと飲んでいた。
宝玉が置いてある祈りの間には、いつも水や軽食が置いてあることを思い出していた。
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