追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
しかしマドレーヌはフランソワーズを超える聖女としての力を持っていた。
その力は強大で、物語の最後には悪魔の宝玉を灰にしてしまうほどに強いものになる。

物語ではフランソワーズはマドレーヌに対する強烈な嫉妬によって、少しずつ宝玉を曇らせていく。
マドレーヌがそのことに気づいたのは悪魔の宝玉が半分以上、黒くなってからだった。
フランソワーズに任せきりだったため、この事態を簡単に引き起こせたのだ。
そんな時に限り、強い力を持つ王妃は体調を崩していた。
悪魔が解き放たれる寸前、マドレーヌとセドリックによって再び宝玉は真っ白に戻り国を救うという話になっている。

そしてフランソワーズは悪魔を解き放ち、王国を破壊しようとした罪で死刑。
マドレーヌはフランソワーズの代わりにセドリックと結婚して、国を救った救世主として讃えられることになるのだ。

フランソワーズとセドリックの間には、特別な感情が芽生えることはなかった。
セドリックは完璧な王太子として今まで持て囃されてきたが、フランソワーズと婚約したことで、彼女を讃える声が増えていく。
見事に国王たちの期待に応えたフランソワーズに、セドリックが嫉妬していたのだろう。
セドリックはフランソワーズを嫌い、そばに寄ることはない。
ライバル視されている……そんな感覚すら感じていた。
形式的なパートナーだった二人の関係は外から見れば順調に見えたことだろう。
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