追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
(ステファン殿下やオリーヴ王女殿下を助けたい気持ちで必死だったけど……うまくいってよかったわ)

フランソワーズは悪魔祓いを初めて成し遂げたことに、達成感を得ていた。
これは聖女の力を使って祈り続けても、消し去ることができない宝玉とは違う。
灰になった本を思い出すたびに、悪魔を完全に祓えたのだと実感できる。
フランソワーズは自分の手を開いたり閉じたりを繰り返していた。

しかし自然とマドレーヌの顔が浮かぶ。
彼女は毎回、こんなに大変なことをやっていたのだ。
そう思うとやはりヒロインの偉大さを実感する。

(マドレーヌはもっとすごい力を持っているのよね……あの宝玉が壊れるほどだもの)

今なら国を救いたいと、必死に祈り続けて宝玉を破壊した小説のマドレーヌの気持ちがわかるような気がしていた。
それだけセドリックへの気持ちも強かったのだろう。
フランソワーズもステファンとオリーヴを救いたいと思い祈り続けたが、いつもの数倍は力が出たような気がした。

(ま、まるでわたくしがステファン殿下のことを好きみたいじゃない……!)

フランソワーズが羞恥心から慌てていると、首元にチクリと痛みを感じた。
首に触れると、包帯が巻かれていくことに気づく。
最初は何故こんなところに包帯が巻かれているか、わからなかった。
それからステファンに剣を向けられたことを思い出して納得する。
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