追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜

(幸せすぎてバチが当たりそうだわ……!)

こんな風にゆったりとした気分で食事ができたのはいつぶりだろうか。
ベルナール公爵の指示で、物心ついた頃から淑女としての厳しい教育を受けていたフランソワーズ。
聖女として悪魔祓いを叩き込まれて、セドリックの婚約者になってからは妃教育をしながら宝玉を祈るために部屋に篭り、パーティーにお茶会にと忙しない日々を過ごしていたのだ。
それを当たり前のようにこなしていたが、今思えばよく乗り越えられたなと思うほどに忙しかった。
だからこそ、こんな時間が過ごせることに感動していた。

(もう毎日祈る必要もないし、王太子の婚約者として振る舞う必要もないのよね……よかった)

食事を終えて、ステファンと談笑しながら楽しい時間を過ごしていた。

どのくらい時間が経ったのだろうか。
ステファンは「そろそろ仕事に戻らないと。フランソワーズはゆっくり体を休めてね」という言葉を残して部屋から出て行ってしまう。

それからステファンと入れ替わるように侍女たちが四人ほど入ってくる。
入浴室に案内されたフランソワーズは温かい湯に浸かる。
湯の上には花が浮かんでおり、香りと湯の温かさに癒されていた。
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