追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
その間に、フランソワーズの金色の髪は二人の侍女によってオイルで整えられていく。
それだけでも幸せなのに、湯から出た後はマッサージを受けて、とろけそうなくらい気持ちがよかった。

フランソワーズが眠気に抗いながら幸せに浸っていると、目の前に出された蜂蜜入りのミルク。
カップを傾けて飲み込むと、甘い匂いが口内に広がっていく。
紅茶を飲み終わると、ベッドに戻るように促される。
一眠りするように勧められたフランソワーズは、感動しながらベッドに横になる。
侍女たちは頭を下げて、静かに部屋を去っていく。
一人、部屋に残されたフランソワーズは信じられない気分で瞬きを繰り返していた。

(今までこんなにゆっくりと休んだことがあったかしら……まるでお姫様ね)

フランソワーズは柔らかいベッドの中で目を閉じた。
   
それからフランソワーズが目を覚ましたタイミングで、すぐに運ばれてくる紅茶。
カーテンからは日が漏れている。まるで夢の中にでもいるかのようだ。
幸せに浸りながらボーっとしていると扉をノックする音と共にステファンが現れる。


「フランソワーズ、大丈夫か?」

「……はい。わたくし、あまりにも幸せな時間に放心状態ですわ」

「ははっ、それはよかったね」
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