追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズが問いかけると、ステファンは「もちろんだよ」と言って笑っている。
悪魔祓いのお礼は悠々自適な生活ではなく、いつの間にか大国の王太子との結婚になっているではないか。
驚きの提案に、フランソワーズは首を横に振りながら自分に言い聞かせていた。

(そ、そんなわけないわよね……でもどうしてわたくしに結婚を申し込んでくるの?)

フランソワーズは混乱した頭で考えていると、ステファンはこちらの考えを見透かしたように口を開く。


「この件を解決してくれたことに深く感謝している。フランソワーズは僕たちの恩人だ」

「は、はい」

「でもそのことだけじゃないんだよ」

「それって……」

「フェーブル王国に移動する際、君の人柄に触れて……その、素晴らしいと思ったんだ」

「……!」

「皆に平等に接して謙虚な姿勢も他の令嬢たちにはないものだ。それに……」


フェーブル王国へ向かう馬車の中で、ステファンと色々なことを話したことを思い出す。
言葉を詰まらせたステファンは瞼を閉じて視線を逸らしてしまう。
次第に彼の頬が真っ赤に染まっていくのを、フランソワーズは目を見開きながら見つめていた。


「君は……僕の理想の女性だと思った」


ステファンと目があった瞬間、フランソワーズの頬もほんのりと色づいていく。
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