追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
フランソワーズがそう言うとステファンは大きく目を見開いた。
やはりハッキリと言いすぎてしまっだだろうかとフランソワーズが心配になっていた。

(もしかして……ステファン殿下に嫌われてしまったのかしら)

ステファンから返ってきたのは、予想外の返事だった。


「フランソワーズ、それは前向きな言葉だと捉えていいのだろうか?」

「……!」


ステファンは真剣な表情でフランソワーズを見つめている。
確かにもし嫌ならば『結婚はできない』と、すぐに断っていたはずだ、
それなのにフランソワーズは『知らなすぎる』と言って答えを濁している。
ステファンに前向きと捉えられても仕方ないだろう。

(わたくしもステファン殿下のことを……?)

ステファンにこう言われて改めて自覚することとなる。
彼の人柄を知った今、ステファンを嫌うことなどできはしない。
他者への思いやりや妹を守ろうとする気持ち。
誠実な態度や優しさは温かくて一緒にいると居心地がいいと感じる。
フランソワーズはなんて言葉を返せばいいかわからずに口篭っていると、何故かステファンは嬉しそうに笑っている。


「やっぱり僕はフランソワーズのことが大好きみたいだ」

「……っ!?」


ステファンは自分の気持ちを伝えるようにフランソワーズの手の甲に唇を落とす。
フランソワーズは、ステファンの行動や言葉の意味がわからずに戸惑っていた。
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