追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
過去を思い出し、暗い気分になってしまったと顔を上げる。
ステファンは眉を顰めてこちらを見ていた。
話を変えようと話題を探す。

ふとステファンがフランソワーズのことをどう思っていたのかが気になって問いかけてみることにした。
セドリックについて、パーティーや公務に参加していたフランソワーズはもちろんステファンとも面識がある。
度々、視線を感じていたのは悪魔祓いのことやオリーヴのことで話があったからだろうか。
そう思いつつもステファンがなんと答えるのか気になっていた。


「ステファン殿下は、以前からわたくしのことをどう思っていたのですか?」


ステファンは記憶を思い返しているのか考え込んでいる。
その後にフランソワーズに笑顔を向ける。


「セドリックの婚約者ではなくなったから言えるけど、初めて会った時から……美しい人だと思っていた」

「……!」

「それといつも寂しそうだな、と」


ステファンはそう答えて困ったように笑った。
いつもフランソワーズが言われていたのは不気味や怖いなどの心ない言葉ばかりだった。
婚約者であるセドリックさえもフランソワーズを可愛げがないなどと罵っていた。
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