鈴志那優良の短編集
─数ヶ月後。
私たちはあれからスマホで歌を取りれることを知り、既存の歌をカバーしてパソコンから動画配信サイトにあげるということを繰り返していた。初めは不安に思っていた薬もなんの今は抵抗もなく飲めるようになっていた。
私たちのアカウントもそれなりに売れコメントもそれなりについていた。私はコメントがつくのが嬉しく思い、歌をあげるのがとても楽しみに感じていた。
「莉子ちゃん、次何あげる?」
「この曲はどうかな?」
今流行りの『ドキンドキン・バン』だ。ドラマの主題歌だとか。でもこの曲はアップテンポで速い部分もあり少々難しい曲である。でも歌っていて楽しそうな曲なのでやってみたい。
「やろう」
「よしきた!」
スマホの録音アプリを開く。入手した音源を入れて私たちの歌声を入れる。所々ハモリやエフェクトをかけたりして完成。あとは動画の作成。イラストやフリーの写真画像などでそれっぽいMVを仕上げていく。動画として完成したそれは完璧だった。
「やったね。莉子ちゃん」
「明日の20時にあげようか」
今回はどんなコメントがつくのか楽しみだ。私はわくわくと心を躍らせながら寝る前の薬を飲み眠りについた。
─3日後。
私たちの動画は燃えていた。炎上していたのだ。コメントにはこう書いてあった。
『これパクリじゃね?』
『てか、この曲著作権的にアウトだよ』
『てか歌もひっどー』
今までは『歌声キレイだね』や『歌うまい!こんなやついたのか』というコメントで溢れていて私はコメントで満たされていたのに今日、また零れ落ちていった。あたたかくてやさしいあの満たされたコメントはどこへ行ったのだろう。私はまた満たされない生活に戻るのだろうか。
「絵里、この動画消して謝罪しよう。まだ取り返しつくよ」
「もう、いいや」
私はもう満たされないのだろう。誰にも何にも満たすことはできないのだろう。きっと満たしてくれるものなんてこの世に存在しないのだから。
その日は雨が降っていた。月がまたぼんやりとあたりを照らしていた。
私たちはあれからスマホで歌を取りれることを知り、既存の歌をカバーしてパソコンから動画配信サイトにあげるということを繰り返していた。初めは不安に思っていた薬もなんの今は抵抗もなく飲めるようになっていた。
私たちのアカウントもそれなりに売れコメントもそれなりについていた。私はコメントがつくのが嬉しく思い、歌をあげるのがとても楽しみに感じていた。
「莉子ちゃん、次何あげる?」
「この曲はどうかな?」
今流行りの『ドキンドキン・バン』だ。ドラマの主題歌だとか。でもこの曲はアップテンポで速い部分もあり少々難しい曲である。でも歌っていて楽しそうな曲なのでやってみたい。
「やろう」
「よしきた!」
スマホの録音アプリを開く。入手した音源を入れて私たちの歌声を入れる。所々ハモリやエフェクトをかけたりして完成。あとは動画の作成。イラストやフリーの写真画像などでそれっぽいMVを仕上げていく。動画として完成したそれは完璧だった。
「やったね。莉子ちゃん」
「明日の20時にあげようか」
今回はどんなコメントがつくのか楽しみだ。私はわくわくと心を躍らせながら寝る前の薬を飲み眠りについた。
─3日後。
私たちの動画は燃えていた。炎上していたのだ。コメントにはこう書いてあった。
『これパクリじゃね?』
『てか、この曲著作権的にアウトだよ』
『てか歌もひっどー』
今までは『歌声キレイだね』や『歌うまい!こんなやついたのか』というコメントで溢れていて私はコメントで満たされていたのに今日、また零れ落ちていった。あたたかくてやさしいあの満たされたコメントはどこへ行ったのだろう。私はまた満たされない生活に戻るのだろうか。
「絵里、この動画消して謝罪しよう。まだ取り返しつくよ」
「もう、いいや」
私はもう満たされないのだろう。誰にも何にも満たすことはできないのだろう。きっと満たしてくれるものなんてこの世に存在しないのだから。
その日は雨が降っていた。月がまたぼんやりとあたりを照らしていた。