鈴志那優良の短編集
あれから数日後本当に優里は家を見つけてきた。そして審査にかけて2週間。契約をして、1週間後に入居可能。今は2DKのマンションに住んでいる。その間にも私の洋服や、靴などを下着を新調する。家を出た日に全て処分したため来ている服しか無かったからだ。
その間もお金が途切れるどころか、余裕があるような様子だった。
ウェブライターって本当に稼げるのだろうか。スマホは私名義で借りれないので優里に借りてもらった。調べてみたが月収20万〜30万、多い人で50万らしい。優里はウェブライターで才能の塊だったのだろうか。真偽はわからないが、1ヶ月やってのけたのだ。これからは2人で住んでいくことになるだろう。
「1ヶ月に加えて、お引越しまでしましたよ」
「優里ちゃんどこからそんなお金出てくるのかしら」
それにしても忙しい1ヶ月だった。洋服選びや引越しやらで目まぐるしい月だった。やっとゆっくりと落ち着いた生活ができるとそう思っていた。
「美代ちゃんはやってみたいこととかないんですか?」
やってみたいこと、そう言われて思いつくことは何も無かった。強いて言えばの話なら思い当たることがあった。
「絵を描くこと、かしら」
私は絵を描くのが好きだった。描く絵はアニメの絵。両親はそれを気に入らなかったし、まず反対されたし、自分も描くのが恥ずかしかった。影でよく描いていたものだ。普通の絵も嫌いじゃないが、やはり漫画などを書いてみたいと思った。
「わぁ、素敵ですね。私、見てみたいです!」
「でもアニメとかの絵よ?」
「私アニメ好きですよ」
グーサインをしながら言う優里にまた肯定された、認められたような気がしてまた少し安心した。
「じゃあこれから画材買いに行きましょうか?」
これもまた、私の心を嬉しい気持ちで満たしてくれた。
「えぇ、行きましょう」
それから私たちは心を弾ませながらショッピングモールへと出かけて行った。
ショッピングモールについて画材を見る。正直どれを買ったらいいのかわからないが優里は詳しいようだった。初めて描くことを伝えると初心者には色鉛筆とスケッチブックがいいと勧められた。スケッチブックは本格的になってからでも使うし、色鉛筆は幼稚園や小学生の頃から使うから慣れているだろうとのことである。
勧められるがまま私はその2つを買った。早速家へと帰って私はスケッチブックを開いた。だが当然何を描けばいいのかわからない。
「何を描けばいいのかわからないわ」
「なら、スマホでアニメを見るのはどうです?最近だと渋谷のシエルが流行ってますよ」
言われた通り検索してみると驚嘆した。こんなにアニメは今進化しているものなのだと。両親に反対されてからはアニメを見ていなかったし、一人暮らしをしても見る気にもならなかった。
「すごいのね、アニメって」
「あら?アニメ好きじゃないんですか?」
「親に反対されてたからね」
「そうなんですね。じゃあ私とアニメ見放題ですね!」
今までパソコンに向かって文字を打っていた優里が振り向いて、キラキラした目を輝かせながら言う。
「仕事に集中しなさぁーい」
「はぁーい」
アニメを見ていたら1人の男に目が行く。主人公のシエルだ。なんというか、かっこいい。容姿がいいのもあるが努力で仲間を守る感じがとても好きだ。
「シエルくんかっこいいな」
「シエル好きなんですか?私はアヤトが好きですよ。なら、シエル描いてみたらどうですか?トレスします?」
そうか、私に絵を描くヒントを与えるためにアニメに誘ってくれたのか。シエルくんのこと、うまくかけるだろうか。不安になりながらもトレス台に敷いた絵を上からなぞっていく。
あれから数時間後。
「できたわ」
「わぁ、すごく上手ですよ」
「とれす?しただけだからね」
「それでもです」
素直にとても嬉しかった。私のことを悪く言うことは無くただ純粋に褒めることがとても嬉しかった。
「そろそろ仕事も一段落したので散歩にでも行きませんか?」
「いいわよ。夕飯の買い物もあるものね」
私たちは散歩へと出かけた。散歩ではさっき見たアニメの話で持ち切りだった。だが唐突に優里がこう言ってきたのだ。
「絵を仕事にしてみませんか?」
いつも突然何かを口にする。仕事にできるわけが無い。まず私は身分を証明できない。それもまだ言ってはいない。
「私まだ下手よ。それに私こんな身なりでしょう?不審に思って市役所から戸籍の登録ができなくなってしまったの。誰も信じてくれないのよ」
私は諦めたかのような顔で言った。すると優里は何かを決心したかのような顔で言った。
「できます!全部できます!根拠とかないけど、絵を仕事にすることも、戸籍の登録だってできます!私も手伝います!」
私は救われたような気がした。そのできるという言葉には信用はできない。ただ手伝うという言葉には救われたのだ。私は諦めたのに優里は諦めないというのか。違う。私は諦めてはいけない。市役所に向かってみよう。
今度こそ幸せを優里と笑って過ごせる毎日を手に入れるんだ。
その間もお金が途切れるどころか、余裕があるような様子だった。
ウェブライターって本当に稼げるのだろうか。スマホは私名義で借りれないので優里に借りてもらった。調べてみたが月収20万〜30万、多い人で50万らしい。優里はウェブライターで才能の塊だったのだろうか。真偽はわからないが、1ヶ月やってのけたのだ。これからは2人で住んでいくことになるだろう。
「1ヶ月に加えて、お引越しまでしましたよ」
「優里ちゃんどこからそんなお金出てくるのかしら」
それにしても忙しい1ヶ月だった。洋服選びや引越しやらで目まぐるしい月だった。やっとゆっくりと落ち着いた生活ができるとそう思っていた。
「美代ちゃんはやってみたいこととかないんですか?」
やってみたいこと、そう言われて思いつくことは何も無かった。強いて言えばの話なら思い当たることがあった。
「絵を描くこと、かしら」
私は絵を描くのが好きだった。描く絵はアニメの絵。両親はそれを気に入らなかったし、まず反対されたし、自分も描くのが恥ずかしかった。影でよく描いていたものだ。普通の絵も嫌いじゃないが、やはり漫画などを書いてみたいと思った。
「わぁ、素敵ですね。私、見てみたいです!」
「でもアニメとかの絵よ?」
「私アニメ好きですよ」
グーサインをしながら言う優里にまた肯定された、認められたような気がしてまた少し安心した。
「じゃあこれから画材買いに行きましょうか?」
これもまた、私の心を嬉しい気持ちで満たしてくれた。
「えぇ、行きましょう」
それから私たちは心を弾ませながらショッピングモールへと出かけて行った。
ショッピングモールについて画材を見る。正直どれを買ったらいいのかわからないが優里は詳しいようだった。初めて描くことを伝えると初心者には色鉛筆とスケッチブックがいいと勧められた。スケッチブックは本格的になってからでも使うし、色鉛筆は幼稚園や小学生の頃から使うから慣れているだろうとのことである。
勧められるがまま私はその2つを買った。早速家へと帰って私はスケッチブックを開いた。だが当然何を描けばいいのかわからない。
「何を描けばいいのかわからないわ」
「なら、スマホでアニメを見るのはどうです?最近だと渋谷のシエルが流行ってますよ」
言われた通り検索してみると驚嘆した。こんなにアニメは今進化しているものなのだと。両親に反対されてからはアニメを見ていなかったし、一人暮らしをしても見る気にもならなかった。
「すごいのね、アニメって」
「あら?アニメ好きじゃないんですか?」
「親に反対されてたからね」
「そうなんですね。じゃあ私とアニメ見放題ですね!」
今までパソコンに向かって文字を打っていた優里が振り向いて、キラキラした目を輝かせながら言う。
「仕事に集中しなさぁーい」
「はぁーい」
アニメを見ていたら1人の男に目が行く。主人公のシエルだ。なんというか、かっこいい。容姿がいいのもあるが努力で仲間を守る感じがとても好きだ。
「シエルくんかっこいいな」
「シエル好きなんですか?私はアヤトが好きですよ。なら、シエル描いてみたらどうですか?トレスします?」
そうか、私に絵を描くヒントを与えるためにアニメに誘ってくれたのか。シエルくんのこと、うまくかけるだろうか。不安になりながらもトレス台に敷いた絵を上からなぞっていく。
あれから数時間後。
「できたわ」
「わぁ、すごく上手ですよ」
「とれす?しただけだからね」
「それでもです」
素直にとても嬉しかった。私のことを悪く言うことは無くただ純粋に褒めることがとても嬉しかった。
「そろそろ仕事も一段落したので散歩にでも行きませんか?」
「いいわよ。夕飯の買い物もあるものね」
私たちは散歩へと出かけた。散歩ではさっき見たアニメの話で持ち切りだった。だが唐突に優里がこう言ってきたのだ。
「絵を仕事にしてみませんか?」
いつも突然何かを口にする。仕事にできるわけが無い。まず私は身分を証明できない。それもまだ言ってはいない。
「私まだ下手よ。それに私こんな身なりでしょう?不審に思って市役所から戸籍の登録ができなくなってしまったの。誰も信じてくれないのよ」
私は諦めたかのような顔で言った。すると優里は何かを決心したかのような顔で言った。
「できます!全部できます!根拠とかないけど、絵を仕事にすることも、戸籍の登録だってできます!私も手伝います!」
私は救われたような気がした。そのできるという言葉には信用はできない。ただ手伝うという言葉には救われたのだ。私は諦めたのに優里は諦めないというのか。違う。私は諦めてはいけない。市役所に向かってみよう。
今度こそ幸せを優里と笑って過ごせる毎日を手に入れるんだ。