キミには一番星を


「あはははは、私も急に連れてこられたときはびっくりしました。しかも、織姫になるなんて、一時間前だったら想像してなかったですもん!まぁ、マネさんも良い人で良かったですけどね!」

これは私の本心だ。こんなに可愛いマネさん、きっとこの人だけだ。

私の言葉に、マネさんは照れた様子で「これからも、ぜひよろしくお願いします!」と言った。

そこで私は気付く。

「あ、そうだ、まだマネさんの名前聞いてなかったです。お名前を伺ってもいいですか?」

「え、あ、本当だ。会員証も今日に限って忘れてしまいましたし……」

こう言う少しドジっ子なところもまた可愛いんだ。彼氏とかいないのかな?

それとも、スタライメンバーのかっこよさで充分とか?

「改めまして、スタライ及び織姫のマネージャーを務めさせていただきます。新瀬舞(あらせまい)と言います!」

「舞さん、私こそ、これからよろしくお願いします!」

へへへ、なんか照れくさいな。でも、それ以上に幸せな気分♪

その後も色々雑談をしながら作業をしていたら、スタライのみんなが駆けつけてきた。

「あと三十分でテレビに映る番になるって!今、他のグループがパフォーマンスしてるとこ」

え、あと三十分しかないの?しかも、このスタジオからさらに十分かかるような場所にも移動しなきゃいけない。

と言うことで、セリフの打ち合わせは車でやることになった。移動中、静かよりもマシだけど、これはこれで緊張する。

しかも舞さん以外のマネもいるから、余計にやりづらさを感じる。

「奏サンいい感じじゃん!もしや経験者?」

「いやいやいや、もう全くの凡人ですよ。スタライのみんながすごすぎて圧倒されっぱなしだよ」

彼らも、私と舞さんで雑談しながら作業してた時も、ずっとダンスの練習をしていた。

さすがだと思う。彼らが凄すぎて、徐々に私は不安になってきた。……いや、元々不安はあったけどさらに増してきた。

「奏ちゃん、緊張してる?僕たちがサポートするから、少しくらい失敗しても全然大丈夫!だからもっと笑ってね?」

さ、さすが星川さん。私の少しの変化にもすぐに気付くなんて。

「あ、そうそう!奏サン、俺らのことさん呼びしてるけど、呼び捨てにしちゃってくんない?」

え、これは聞き間違いだろうか。呼び捨て?そんなの、私にできるわけないって!
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