キミには一番星を
「うん、分かった。……なんて言うはずないでしょ?だめ、奏も強制参加だから」
え?いやいやいや、私なんかは場違いなんだってば!
「よし、じゃあ、こうしましょう?奏ちゃんが次のステージで失敗したら東京ドームの参加は無し。成功したらドームに強制参加!私、奏ちゃんのこと応援してるからね?でも、スタライの足は引っ張らないでね!」
……ちょっと待てよ?それって、私は成功させるしかないってことじゃん。
だって、次のコンサートはスタライのドームがかかっているんでしょ?=私が成功させて私もドーム行き。
「良いねぇ!やるじゃん舞サン!よし、じゃあ、とりあえずは奏も歌とダンスの練習しないとだね♪」
「よし、僕たちと頑張ろうね!」
「俺らの足を引っ張んなよ織姫」
……はぁ、私、とんでもない世界に迷い込んでしまったかもしれない。
「それに、俺ら三人がスタライじゃない。奏も合わせた四人でスタライなんだよ。だから、奏だけドームに行かないなんて選択肢はないの。全員で行こうよ!」
星一はそう言うと、私の手を引いて、ステージのあるスタジオに向かった。不意だったから心臓がドキッと音を立てた。
それを誤魔化すように、私は星一に「これからよろしくね」と言った。
この事務所内にあるため比較的すぐに着いたけど今まであまり運動をしてこなかったからか、もうすでに息が切れかけていた。
「あっははは、奏って運動不足じゃない?よし、ダンスの練習で体力もつけよう!」
さっきまで手を引いていた彼は、気づけばステージの上にいた。え、もしかして私もそこでダンスの練習をするの?
それに、いつのまにか優雨と七生までステージに登っていた。
「俺らが相手をしてやる。まずは基礎からだ!ほら、織姫もこっち来い」
……私、運動はできる方だけど体力が悲しいほどないから基礎だけでもとてもキツかった。
「はぁ、はぁ……みんな、これよりもハードなやつを、よくあんなに長い時間踊れるね……尊敬します」
「違うよ。奏ちゃんがみんなよりも体力がないだけだよ?これから走ったほうがいいかもね」
ウゲェ、走りかぁ。優雨って意外とスパルタ?まぁ、走ることはそれなりに好きだけど、長距離に私は向いていない。
「確かに。軽くでいいからこまめに走る習慣を作った方が良さそうだな。織姫には頑張ってもらわねばな」