キミには一番星を
それから、私の毎日は忙しくなった。家族とは離れて一人暮らしをしていたのは良かった。
帰りが遅くなる時の方が多いからだ。でも、一人暮らしな分、家事が追いつかない。
それでも、必死に食らいついて行った。学校も時々休むようになった。
……まぁ、織姫になってからお嬢様の視線がさらに増えた気がするから、良かったのは良かったのかもしれない。
それを優里香に聞いてみたら
「ただ羨ましがってるだけだよ。それに、あの生放送の後、奏に対しての評価が少し上がったんだよ?意外と可愛かった、とか、次のコンサートがとても良かったらそれでいいや、とかね。私も応援してるからね!」
と言ってくれた。視線の意味が怖いものではなかったのはホッとした。
それでも、私の責任は重大だ。私にスタライの運命がかかっているのだ。
また、走る習慣を身につけるようになると、徐々に体力が上がって気がする。
最初は同じコースを走っていてすぐに息が上がったけど、今では少しコースの距離を伸ばしている。
ダンスの方も順調で、みんなに「振りの覚えがはやいの助かる」と褒められた。
歌も順調!楽しくって仕方がない。
練習はきついけど、その分楽しいから続けられる。私はどんどんコンサートが楽しみになってきていた。
そんな中、スタライのみんなにある提案をされた。
「俺、思ったんだけどさ、奏の単独ライブしてみたらどう?あ、もちろん俺らのコンサートの合間かなんかで」
た、単独ライブ?!私が?
「ちょ、ちょっと待って?私、今、スタライの四人でのパフォーマンスの練習で充分って感じなんだけど……」
正直、まだまだ三ツ星には敵わない。私含めたスタライは、今までの三人のスタライよりもやや精度が落ちている。
明らかに私の力不足。しかも、ラップなどの激しいパートがない曲ばかりで申し訳ない。
新しい曲もこのコンサートで公表するらしいから、余計に私が邪魔なのだ。
ぶっちゃけ、コンサートに私は必要ないと思う。私がいたところで足手纏いしかない。
「僕たちの奏ちゃんなら何とかなるよ!だってさ、奏ちゃんの声綺麗だし、歌上手いし、ダンスも上手だもん」
「織姫のアピールもしとかないと、何のための織姫だよってなるからな」
「うんうん。奏ちゃんには、今のうちに頑張って貰わないとだねー!私も応援してるから!」
みんなニコニコして応援してくれる。……私だって応えたい!