キミには一番星を
はぁ、本当に奏って眩しいな。彼女だけの曲で、奏自身がとても輝いている。
歌い踊り終わった彼女が、少し息を切らせながら俺に「どうだった?」と聞いてきた。
「とても良かった!スタライのメンバーなのがもったいないくらいだよ。奏なら本当に単独で活動してもたくさんのファンが出来ると思う!めちゃくちゃ輝いてたよ」
「ほんと?やったぁ!私、これでスタライのメンバーだって胸を張って言えそう」
その後もぴょんぴょん跳ねながら喜んでいる彼女は、まるで小動物のようだった。
まぁ、奏の身長はクラスで一番低いし、何となく幼い感じがするからしょうがないけど?
でも、そんな彼女のことを可愛いなと思う俺は俺で重症だ。てか、キモくね?俺。
「おいおい、神矢、目がハートになってんぞ?ククク」
「僕、少し嫉妬しちゃうなぁ。僕も奏ちゃんの事、結構良いなと思ってるんだよね?」
「……二人とも、からかうのやめてくんない?俺は今の関係で充分だから。それより、お前らも奏みたいにもっと練習しよ?」
「あ、また奏ちゃんの名前が出てきた!ふふ、じゃあ、僕が貰っちゃうからね?文句言わないでね」
はぁ、好きにしろよ。とにかく、今はそれどころじゃないでしょうが!
このコンサートが、ドームに行けるのかがかかってるんだから。しかも、今回は織姫…奏もいる。
俺らが失敗して奏を悲しませたくない。俺らの夢でもあるドームを、そう言う個人の勝手で壊したくない。
奏と一緒に、スタライでドームデビューしたい。この想いは変わらない。
密かな胸に秘めたこの気持ちを、俺はいつまでもいつまでも大切にしていきたいと思った。
「星一!私、みんなをドームに連れて行けるように、コンサート頑張るね!」
「…いや、俺らで奏を連れて行くから。奏と一緒に、ドームでライブやりたいから」
「はは、うん!あと二週間頑張ろう!」
そっか、あと二週間か。すっかり時間が経つのが速くて、俺は少し微笑をした。