キミには一番星を
奏でる者は楽しむ者
練習が大詰めになってきた頃、今日、久しぶりに学校に行ったら優里香に抱きしめられた。
「わ、優里香?どうしたの?」
懐かしい香水の匂いが鼻を掠めて、思わず私も抱きしめ返した。
「だって、奏は一週間も学校休んでたんだもん。私、奏の他に友達いないから久しぶりに会えて嬉しいの」
へへ、照れちゃうなぁ。私だって、仕事の関係で忙しくても、優里香のことを忘れてはいなかった。
それどころか、今何してるのかな?元気かな?と思い出してばかりいた。
正直、練習は楽しいけど、優里香に会えなくて私も寂しかった。
「朝からお熱いね、二人とも」
そんな声が聞こえてきて、優里香は思い切り肩を震わせた。私はもう、聞き慣れた声に驚くことはない。
「星一達も今日、学校来れたんだね」
「逆に、俺らは奏よりも学校に行けているよ?奏は最近忙しそうだね」
「うん。でも、楽しいからいくらでも頑張れる!」
すると、後ろから優雨がひょっこりと顔を出した。
「神矢くんとばかり話しててずるいなー。僕とも話そ?」
さらにその背後には、七生が何やらニヤニヤと私たち四人を見下ろしていた。
優里香は、突然の三ツ星登場に、結構ビビっていた。それは仕方のない事だと思う。
何せ、お嬢様たちの視線はまだまだ険しいから。
私だけなら良いけど、優里香まで巻き込んでしまっているのは申し訳ない。
「私、久しぶりに優里香と二人きりで話したいんだ。だから、ごめん!」
「うんうん。そうだよね!じゃあ、僕たちとはまた放課後に会おうね?」
私が頷くと、彼らは教室の中央で何やら会話をし始めた。たまにお嬢様が群がっていたけど、付かず離れずって感じだ。
「奏、本当に違う世界の人になっちゃったね。私、もう奏と肩を並べて歩けないかも」
「私なんてまだまだ全然だよ。それに、私からしたら優里香の方が羨ましいかも。だって、こんなに可愛いんだもん♪」
私がそう言って抱きつくと、優里香は呆れた顔で「はいはい」と言いながら私を引き剥がした。
こう言うところも、優里香の好きなところだ。サバサバしてて話しやすい。
「私、優里香と友達になれて本当に良かった!」
この言葉に、私の友達は少し照れながら「私も」と言ってくれたんだ。