キミには一番星を


 
本当にみんなには感謝しかしてないよ。こんな私でも輝く場をくれる。一緒のステージに立たせてくれる。

それだけで、もう、私の胸の中は幸せな気分で満ち溢れるんだ。

「私が言うのもおかしいかもだけど、このライブを成功させて、みんなで東京ドームを勝ち取ろうね!」

私の言葉の後、三ツ星が手を重ね始めた。それを察した私と舞マネも、上に手を重ねる。

「「「行くっぞ〜!!」」」

三人の掛け声に合わせて、私たちは手を下げる。そして、五人で叫ぶ。

「「「「「お〜!!!」」」」」


ここからが、私たちのリスタートだ。

お嬢様達を見返すためにも、みんなに感謝の思いを伝えるためにも、私は頑張るんだ!










 いざ当日を迎えると、こんなにも緊張するものなんだ……

会場には開始前一時間くらいから人が集まり始めていた。

実は、一昨日に学校に行けたんだけど、その時に優里香にチケットを渡したんだ。

「ありがと!三ツ星なんかよりも奏の活躍を楽しみにしてるから!」

そう言ってくれた私の友達は、今、この人だかりの中にいた。

こんなに早い時間に来てくれたことに、私は思わず涙が出そうになった。でも、泣いちゃいけない。

既にメイクを終わらせていたからだ。メイクが崩れたらみんなの時間を無駄にすることになってしまう。

「はぁ、ドキドキする。緊張しすぎて吐きそう……」

「え、大丈夫?流石に冗談だと思うけど吐かないでね?俺、誰かが吐くと自分も吐いちゃうから」

「う、うん。多分大丈夫だと思うけど、緊張しすぎてヤバイよ……」

今はダンスの合わせ練習をしている。最終リハだ。

衣装も着替え済みだから、できるだけ汗で汚れないように気をつけなければいけない。

だから、汗が出てきたら汗拭きシートでこまめに拭いている。

「記念すべき織姫の初ライブかぁ。奏、リラックスして頑張れ!」

「うん、星一ありがとう。みんなも新曲の披露とか、頑張ってね!」

「「「うん!」」」

そんな私たちから少し遠くにいる舞さんは、今も忙しそうだ。他のマネと色々打ち合わせしている。

輝く人って、自分一人では輝いていないんだ。必ず、誰かしらのサポートがあって輝けるんだ。

最終リハも無事に終わり、最後の身だしなみの調整をする。

「舞さん、ここまで一緒に頑張ってくれて、支えてくれてありがとうございました!」

「え、あぁ、うん!私こそ、こんなに君達と関わらせていただけて嬉しいよ。ありがとう!」

「これからもよろしくお願いします!」

今から私たちは、大きな一歩を踏み出す。それも、たくさんの人のおかげだ。

「「「「じゃあ、行ってきます!」」」」

そう言って、私たちはステージの上に立った。

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