キミには一番星を
入学式の翌日、今日も女子達が教室に殺到している。
そんな中、私と私の友達の優里香は教室の隅っこで身を潜めていた。
「朝から元気だよねー。どこからそんな高い声が出てくんのよ。逆に尊敬するわ」
「でも、優里香も朝から元気だよ。高い声は出てないけど、毒を吐けているから」
「ハハ、思うけど奏って面白いよね!毒を吐けたら元気なの?まぁ、私は元気だけどさ」
その後もしばらく笑い続けた彼女はどこか機嫌が良さそうにしていた。
何かいい事があったのかな?
「はい、そろそろ席につけー。席替えもしないといけないからな」
この高校では、入学式当日の席は教室の半分で男子と女子に区切られていた。
だけど、翌日から早速席替えが始まるのだ。出席番号ではなく、ランダムに。
そして、班もランダムに決まってしまうという事だ。
ここで私が絶対に避けたいのは、あのSTAR LIGHT NlGHTの別名、三ツ星さん達と近くの席になる事だ。
厄介ごとは避けたい。特に女子からの視線が痛いのだ。
お願い!できれば優里香と近い席になりたいです!
「じゃ、くじで引くなー」
……一応、優里香とは前後で同じ班になった。でも、あろう事か、あの三ツ星さん達とも同じ班になってしまった。
三人ともと同じ班になるとかあり得ますか?普通、そんなのあり得ないでしょ!
「ゆ、優里香ー!私はしばらく不登校になろうかな?」
「はぁ?ダメダメ。確かに終わってるけどさ、まだウチらは一緒じゃん?私を置いていかないでよ」
そう言われたら断れないじゃんか!
と、後ろから三ツ星さん達にいきなり声をかけられた。
「これから同じ班のメンバーとしてよろしく」
「仲良くしてね?」
「…よろしく」
周りのお嬢様達は私たちのことを羨ましそうに見ているけど、私たちからしてみればお嬢様達の方が羨ましい。
もはや変わってほしい。でも、決まってしまった以上、きっとどうにもならない。
「……よろしくお願いします」
そう答えるのに精一杯だった。…これからどうなんの?
しかも、六時間目は班で自己紹介などをする時間だった。自己紹介が終わったらレクかなんかをするんだって。
私たちは多分、どこの班よりも自己紹介が早く終わった。
「レクっていたって何をしよう?星川は何かやりたい事とかある?」
「僕は別に何でもいいよ?でも、奏さんと優里香さんは苦手な事があるかもしれないから、みんなで楽しめそうなものがいいね」
「舟星はどう?」
「俺も別に何でも」
なんか、この人たちって以外と普通の人なんだって分かった。
でも、私たちはあなた達のことが嫌いだから気まずいな。
「女子はなんかしたい事ってある?」
「えー、何でもいいです。三ツ星様達に任せます」
え?嘘でしょ!あんなにこの人達のこと嫌ってた優里香が、ちゃんと敬語を使ってる。