キミには一番星を

優雨side



 僕は、小学校の頃にいじめられたことがある。この性格をからかわれたんだ。

他の男子はみんな、男の子っぽかった。でも、僕は違った。

いつも女子とつるんでいて、口調だって子供っぽい。男の子らしさは感じられない。

ゲームだってそんなにしなかった。それよりはテレビで色々なアニメを見たりしていた。

外出もそこまでしなかった。他の男子は公園で遊んだり、友達の家でゲームをしていた。

僕はずっと自分の家にこもっていた。人が苦手だとか、そういうんじゃない。

ただ、僕の楽しみが読書だったりアニメの鑑賞だったりしただけ。

そんなインドアな僕が、暗い印象の僕が、女子と一緒にいることにムカついたんだろう。

いつからか男子にイタズラをされるようになった。

初めは消しゴムを折ったり、ノートの端に落書きをしたりされていただけだった。

でも、時間と共にエスカレートしていった。物を隠されたり、机の中にゴミを入れられたりされた。

暴力を振るわれることもあった。女子に目立たないようにコッソリと。

僕と一緒にいた女子も、何か異変に気づいたらしい。離れていく子もいれば、心配してくれる子もいた。

ただ、僕は本当のことを言うことはなかった。

そんな中、小学六年の後期、ある女の子に告白された。僕は考えさせてと答えた。

でも、この現場を目撃した男子がいた。この時の僕はある噂を耳にしていた。

同級生に女子にモテモテのイケメンの男子が二人いるって噂。

その一人だと、僕は咄嗟に判断した。だから、その子が話しかけてきても僕は無視した。

もしもその子と関わってしまったら、いじめてくる男子に何をされるか分からないから。

沢山の人に好かれているその男の子に媚を売っている、と思われたら面倒だから。

……でも、意味なんてなかった。

その翌日、僕が学校に着くとあの男の子が教室の前に立っていた。そして僕を見た途端、顔を輝かせた。

その子の周りには女子がいたけど、それを気にすることもなくその子は僕の前まで歩いてきた。

そしてこう言ったんだ。

「いじめってクソダサいよな。しかも自分がモテないからってな。ねぇ、俺と友達にならない?」

返事できないでいる僕の耳に、その子は口を近づけて小さな声である言葉を付け加えた。

「俺といればいじめにも遭わないし、毎日が楽しくなるよ?」

……僕は、男子の友達がいなかった。それだけで、充分の甘い誘惑だった。

だけど、僕もそろそろいじめに耐えられなくなってきた。そして、女子と離れるきっかけにもなると思った。

「…良いの?僕なんかが友達になっても」

その男の子は、当たり前だと言うように、ニコッと笑った。
< 31 / 59 >

この作品をシェア

pagetop