キミには一番星を
「俺らは一方的に君たちのこと知ってたけど、君は俺らのこと知らないよね。今更だけど自己紹介するよ。俺は神矢星一」
「僕は星川優雨、です」
どこかで聞いたことのある名前だった。それは、女子達が騒いでいた人たちの名前だった。
「俺の名前は知ってると思うけど、舟星七生」
「うん、知ってる。下の名前で女子が呼んでたから、優雨がたまたま七生の苗字を教えてくれて良かった」
全く、とんでもない人たちに巻き込まれたみたいだな。
だけど、不思議と嫌だとか、そんな負の感情は抱かなかった。きっと、この人たちの性格のせいだ。
特徴的な性格だと思うけど、側にいて安心する。そんな二人に家族のことも相談でき、心が救われた。
星川には癒やされて、神矢には色々と支えてもらった。俺は、二人についていくと決めた。
今では奏と言う女子まで増えた。でも、この女子だけは他の奴らと違った。
ネチネチした視線でもないし、性格はサバサバしている。それに、結構な努力家だった。
神矢がスタライに妹みたいな存在が欲しい、と言い出した時は流石に驚いたけど、すんなり馴染めている。
それも、神矢の力なんだと思う。彼は見る目が冴えている。
俺らをここまで連れて来てくれた、恩人だ。
「今日も楽しかった!最高ー!」
そう言って笑う神矢は、一等星のように眩しく輝いている。
「ふふ、僕も!」「私も!」
「…あれ、七生は?楽しくなかったの?俺から見たら楽しそうだったけど?」
本当に良いグループ、仲間に恵まれたな。俺は、どこまでも行ける気がする。
「俺も楽しかった!」
自然に笑えるようになったのは、このかけがえのない毎日を、神矢と星川と過ごせているからだ。
奏はまだ俺らに加入したばかりだけど、俺的には悪くない。
……実は、面と向かって奏と呼ぶのは抵抗があるから彼女のことは織姫と呼んでいる。
そっけないと思われているかもしれないけど、これはみんなには内緒にしておくんだ。
「んじゃ、次はドームに向けて練習しなきゃな!」
俺の存在も認められつつあるこの世界で、できるだけ長い時間生きていけるように頑張る。
いつかに織姫が歌ったあの曲のように、たくさんの人に感謝も届ける。それが、俺がやるべきことだと思うから。
待っててよ、母さんと弟。俺、絶対に諦めないから!
そうやって、俺は更なる高みへと一歩一歩を噛み締めながら歩いていく。