キミには一番星を
「塞いで見えないものには、君の眼が光った。俺らのリスタートは遠くまで、突き抜ける影が伸びていく」
ここは星一のパート。サビに入る前の盛り上がる部分で少しクレッシェンドをかける。
♪
「「「「ついて来てくれて、ありがとう」」」」
最後はみんなで声を揃えて歌う。これは一番伝えたいことだ。だから、最大限の想いを込めて歌った。
そして、みんなで集まりポーズをとって終了だ。
ーみんなが一等星のように輝いていた。
パフォーマンスが終わり、ちょっとした雑談で最後を締めくくる。
ファンサタイムも忘れない。今回はあらかじめにアンケートを取っていた。
スタライにどんなファンサをして欲しいのか、事前に聞いておいたのだ。
それで多かったものや珍しいものを選んだ。
ハート、バーン、猫や犬の鳴き真似。甘い言葉にバク転。……バク転に関しては七生と星一しかできない。
それはファンの子も知っているようだった。でも、これらよりもヤバかったのは……
「奏姫、失礼させてもらいますね」
そう言った星一は、私をお姫様抱っこしたのだ。会場が女子の黄色い声に包まれる。
私、これ知らないんだけど。打ち合わせはこんなことしなかったし、聞いてもないんだけど?
それは二人も一緒だったみたいで、優雨も七生もあんぐりと口を開けている。
アイドルがこんな顔をしたらダメだって……とか思ってた私は、徐々に現実を理解し始めていた。
そして、私の頬も赤くなり、心臓が不規則に音を立て始めた。
「奏、いつも可愛いね♪…姫は世界一可愛らしいですね。俺、惚れちゃいました」
なななななななななななななななななななななななななななな?!?!
また会場が騒がしくなる。二人は、今度は楽しそうな笑っている。
ちょっと待って!いやいやいや、でも、わたしはあくまでファンの子の代わりであって、人形だ。
自分にそう言い聞かせるけれど、なかなかこのドキドキは収まらない。
「ちょっと、な、長いって!そろそろ降ろして……」
私がこそっと星一に言えば、こそっと
「そこはお姫様の口調で言うんだよ。ファンサタイムなんだから」
と返された。お姫様って、お嬢様ってことで良いんだっけ?まぁ、なんとかなるか!
「あの、そろそろ降ろしてもらえませんか?心臓がもたないです……」
お姫様の口調って言われても、オホホホホとか、ですわとか言うイメージもそこまでなかった。
だから、それっぽい雰囲気を出しつつ、丁寧語で星一に伝えた。