キミには一番星を

 母さんはと言うと、家事はほとんど俺任せ、になった。

小四ながら料理に洗濯、掃除をしなければいけなくなった。……体力的にもしんどかった。

よく母さんはこなしてたな、とこの時ばかりは尊敬出来た。

初めは上手くいかなかった料理も、一週間ほどでコツを掴んだ。それなりに上手に出来るようになった。

学校との両立は、まだまだ慣れなかったけど。でも、母さんに八つ当たりされるよりは全然マシだった。



 そして、そのまま小六になった。後期になって、俺が待ち望んでいた男子に出会った。

それが優雨だった。俺は、まぁ、噂のかっこいい男子三人の中の一人だってことは少し前に知った。

そこで、他の二人のことも必然的に知った。ただ、その二人は訳ありだけど。

その中の一人が優雨。ずっと一度会ってみて話がしたいと思っていた。……この子は、男子にだけいじめられていた。

会ってみれば、とても可愛らしい男の子だった。…昔の俺のようだった。

ただ、優雨の容姿はそこら辺の女子よりも整った、中性的な顔をしている。そこが俺とは違った。

雰囲気だけで、もう、優雨のことを気に入った。だから友達になろうと誘ったし、一緒に行動するようにした。

今まで俺の周りにいた女子を、俺が可愛くお願いすれば、あっさりと離れてくれた。

視線はすごかったけど、優雨との時間を邪魔しないでいてくれた。

俺にとって、優雨との時間は宝物になった。そもそも、彼の声が聴き心地が良すぎるんだ。

家での嫌なことだってどうでも良くなるほどの、威力を優雨は持っていた。



 中学二年になれば、噂の最後の一人である七生と出会った。彼もなかなかの過去を持っていた。

俺ら三人は似たもの同士で、ずっと三人で行動した。もちろん、笑顔をつくならくても良かった。

それだけで、結構疲れなかった。癒しの場だった。俺にとっては大事な存在の二人を、俺は守ろうと思った。

何か恩返しがしたい、と強く思うようになった。

そんな時に、アイドルのスカウトがあった。迷ったけど、二人を輝かせる最高の場になると思い、OKした。

今では人気ランキング一位になるまでになった。沢山のファンが出来て、二人も輝いていた。

まぁ、少し、ファンに対してもめんどくさいなって思う場面はあったけど。でも、それ以上に助けられた。

奏も混ざり、さらに賑やかになった。俺の大切な人、場所が増えていく。

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