キミには一番星を
「俺のこと、幻滅した?関わりたくないって、思った?」
私は泣き崩れていた。星一がこんな苦しい思いをしてただなんて思ってなかった。
それに、前世の記憶ではこれからもっと酷いことになるはずだった。
私は星一を守るために、そばにいるために、一つの手段として前世の記憶を思い出したのかもしれない。
「幻滅なんてするわけないじゃんっ、うぅ、関わりたくないって思うわけないじゃんっ」
「…なんでそんなに泣いてるの?」
「だって、やっとで私が生まれた意味が分かった気がするから……今まで気づけなかった自分が憎いっ」
前世の記憶を思い出しても、星一の苦しさに気づけなかった。この記憶に頼りっぱなしの自分が情けない。
「大丈夫だよ。最近はまだ落ち着いている方だし?でも、同情されなくて良かった」
「私、どんなことがあっても星一のことを嫌いになんてならないから。……浮気は別のハナシだけどね?」
「浮気なんてしないよ。俺には奏しかいないから」
さらっと恥ずかしこと言っちゃって……だけど、素直に嬉しかった。今度こそ、幸せになってみせるんだ。
アイドルとしても、恋人としても、両方の幸せを掴んでみせるんだ!
「私も星一しかいない。ずっとずっと、大好きだよ!」
私は思い切って、星一の頬に軽くキスをした。唇が触れただけの、軽いやつ。
それでもすごく緊張したし、照れくさかった。そんな私の救いは、星一も頬を真っ赤に染めていたことだった。
…今回はきっと大丈夫だと、前世の私で安心した。同じ過ちは二度と繰り返さないように、私は星一に寄り添うんだ。
私自身も、もっと強く成長しなければいけない。これから先の未来のために。
私が生まれる三十年昔、ある三人組がアイドル活動をしていた。
そこに、前世の私である星菜(せな)も加わり、四人でアイドルをするようになった。