キミには一番星を
それから一ヶ月が経った。私にとっては初のサイン会をした。なんとそこには、星一のお母さんがいた。
いつだって家に行けるのにって思ったけど、素直に嬉しかった。
そして、今の所は星一に何か危険なことが起こる気配も全然無い。
呆気なさすぎて、思い出すだけで笑ってしまう。私は監視も兼ねて、一週間に一度は星一の家に遊びに行っている。
……それがマスコミにバレかけたけど、コンサートの打ち合わせをしていたことにして、なんとかセーフだった。
その後も懲りずに星一の家に通い続けている。
「ねぇ、俺そろそろ限界なんだけど?自分の彼女が俺の部屋のベッドに座っているのに耐えている俺を誰か褒めて欲しい」
そう言った私の彼氏は、一気にグンと距離を縮めて、私の頬にキスをした。
本当にこの人はずるいなぁ。全部が完璧すぎて、最強すぎる。
「姫、このまま俺に体を預けるか、唇が触れるくらいのキスで終わるか選んでください」
「……それ、本気で言ってる?」
「もちろんですとも。姫の可愛いところ、全部俺は独り占めしたいんです」
キラキラオーラを放つ星一は、どこからどうみても良い国の王子様にしか見えない。
そもそもの色素がやや薄めなのもあると思う。本当に、最強男子すぎる。
「……じゃあ、キス…の方で……」
私がそう答えてすぐ、部屋に軽いリップ音が響いた。ーーチュっ。
……今、私はユデダコになっていると思われる。だって、本当にするとは思ってなかったんだもん!
それに、星一の唇が柔らかくて甘かった……ってもう!最強男子の思惑通りになんていくもんか!
「あぁ、俺の姫はなんでこんなにも可愛いのだろうか。俺と結婚してはくれ……っはぁ?!」
あーら、王子様キャラが崩れちゃったよ?
……それもそうか。だって、私の方から唇に、キスしたんだもん。軽くだけどね?
やられたらやり返す、って言葉、今の私にはピッタリだ。彼氏は私と同じくらいユデダコになっている。
「ねぇ、俺、今ので我慢できるほど大人じゃないから」
わわわわわわわわわ?!?!え、ちょっと!約束はどうなったの?な、なんで私、押しだおされているの?
しかも、星一のいつもの雰囲気から熱っぽく変わっていた。
「あ、あのぉ?今は心の準備が……」
「もう無理」
……と言って、バサリと音を立てて星一が倒れ込んだ。試しに額に手を当ててみると、本当に熱があった。