キミには一番星を
それから熱を測ってみると、三十八点三もあった。
「よくこんなんでキスとか出来たね?ほら、大人しくベッドで休んでて?」
「はぁ、せっかく良いところだったのにぃ……奏、俺の隣で一緒に寝てくんない?」
「無理。今日はもう少ししたら優雨と七生も来るんでしょ?バレるかもしれないしダメ」
全く、熱はあるけど意外と元気そうだ。一応熱冷ましシートを持ってくるか。
「今から冷えピタ持ってくるから、ずっとこの部屋にいてね?」
「ん」
それにしても珍しいな。星一が熱を出しているところ、初めて見た。噂では超健康体って聞いていたし、意外だった。
星一の部屋は二階だから、階段を降りて一階まで降りなければ熱冷ましシートは無い。
「あら、奏様どうしたの?」
「星一が熱を出しちゃって……」
「えぇ?…そう、あの子もついに熱を出しちゃったのね。お父さんに似て体は丈夫だったけどねぇ」
そう言いながら、星一のお母さんは熱冷ましシートを取ってくれた。
「いつも星一と仲良くしてくれてありがとうね。これからもよろしくお願いします」
「こちらこそです」
軽く会釈をして私は階段を登った。部屋に戻った時には、星一は寝てしまっていた。
出来るだけ起こさないように慎重に、彼の額に冷えピタを貼る。
すると、星一は寝言で二人の名前を口にした。
「ん…星菜、奏……俺はもう、大丈夫だよ……うん。またきっと、逢えるよ…」
あれ、前世のことって私しか覚えていないんじゃなかったっけ?
でも、まぁ良いや。夢の中でも私の名前が出てきたんだもん。それも、前世と今の。
それに、星一は寝言だったけど「もう大丈夫」と言った。「また逢える」と言った。
例えどんな形で生まれ変わったとしても、きっと私たちなら見つけ出せる。そう信じて生きていくしかない。
間違った道に進まないように、お互いで支え合うんだ。出来たらまた、アイドルもやりたいな。
欲張りな私だけど、自分の努力で全部叶えてみせる!もう、神様やあの使い人には頼らない。
「星一、私、どんなに生まれ変わったとしても、あなたのことが好きだよ。最強で最高のキミの隣で、いつまでも歩いていたい。私に光をくれたキミに、今度は私が照らしていくよ」
私の家族は、実はもう、みんな使い人の元へ旅立ってしまっている。そう思うことにしておこう。
だけど、ごめんね?まだ、そっちに行けないや。だから、私たちの今と未来を見守ってください。
キミを照らす一番星に、私もなってみせるから!