キミには一番星を



 優里香との電話が終わり、私たちはまたテレビを見る。今はファンの反応について会話しているようだ。

アイドル活動を続ける上で一番重要な部分でもある。ファンは大事な存在で、意見を聞いておかなければいけない。

今の所、応援してくれる声の方が多そうだ。

嫌だと言うコメントも少なくはないけれど、アナウンサーが上手にまとめてくれた。

「私たちは人の恋路を邪魔してはいけません。ファンとして不満に思っても、ファンだからこそ応援してあげましょう」

私はこのアナウンサーに何かしてあげたくなった。ライブのチケットでも渡そうかな。

いや、でも迷惑かもしれないし仕事で忙しいかもしれない。うん、今回はとりあえずやめておこう。

とその時、ドタバタと足音が聞こえてきた。ちなみにここは事務所で、前に打ち上げをした部屋だ。

「ちょっとちょっと!はぁはぁ、あなたたち結婚したの?」

息を切らせて駆け込んできたのは、信頼している舞マネだった。

「そうなんです。私たち、この度結婚することになりました」

「俺はアイドルの道も、奏との時間も諦めません。これからも見守っていてください!」

やっぱ、まだくすぐったいな……でも、それ以上に幸せなのも事実だ。

「私、まだ不安なんだよね。だって、まだあなたたちは二十歳よ?ネットでも年齢のことで騒がれていたし……それに、あなたたちのファンが減ってしまうかもしれない。人気ランキングはどんどん落ちていくかもしれないの。例えあなたたちが良くても、優雨さんや七生さんに迷惑をかけることになるかもしれない」

それは私も考えていたことだった。星一と何度も何度も話し合った。でも、星一も私も二人のことを信じている。

きっと分かってくれる、応援してくれると信じている。

……そして、ちょうど優雨と七生がここにやって来た。

「まさか、奏ちゃんが星一と結婚したなんてね。僕、テレビを見て知ったよ」

「俺もだ。せめて付き合う時とか結婚すると決めたら、俺らに報告くらいしろよな?」

舞さんは真剣な眼差しを私たちに向けている。私たちにスタライの未来がかかっていると言っても過言ではないからなぁ。

もしも迷惑なら、私たちがスタライを脱退する。優雨と七生にはアイドルを続けていてほしいと思ったから。

このことは既に、星一と話し合って決めたことだ。

「……俺ら結婚しちゃったけど、二人は迷惑?もしもそうなら、俺らは抜けるよ」
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