恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
コンコン
「はい……」
ガラッ
『立花さんおはよう。
血圧測りますね。
気分や痛みに変わりはないですか?』
「はい……特には。」
こうして声をかけてくれる
看護師さんが、
痛み止めの点滴の残りを
確認したり、血圧を測ったりと
眺めるのにも少し慣れてきた
そうだ……
お兄ちゃんが沢山本を
持ってるって言ってたから、
今度持ってきてもらえるように
頼んで見ようかな
私は小さい頃から本を読むのが
好きだったことだけは覚えてる
『立花さん。
今日から点滴を減らして
食事を少しずつ食べますので、
無理せず食べれるものを
食べてください。
左手しか使えないから
箸じゃなくスプーンを用意しますね』
「…はい…ありがとうございます」
正直‥‥
食欲なんてものはない。
でも
食べて力つけないと骨が折れてるし
治らないから食べるしかないのだ
早くここを出たいと
窓の外の空を見上げた。
真っ白なこの病室にいると
あの夢のように
この世界から抜け出せなく
なりそうだったから
コンコン
『日和、入るぞ』
「…お兄ちゃん」
遠くに住んでるお母さんは
仕事があるため一旦帰ったから、
今日からはお兄ちゃんだけだ
『傷はどうだ?
派手に骨折してるから
早く治してリハビリしないとな』
「うん……頑張る。
お兄ちゃん、あのね…」
鞄を無造作に置いて
パイプ椅子に座ったお兄ちゃんが
暑かったのかハンカチで汗を拭っている
季節や日にちの感覚も
忘れているんだな‥‥
『どうした?』
「あ、‥‥‥うん
暇だから本が読みたいな」
『…ハハッ…分かった。
退屈だよな‥‥‥
明日沢山持ってくるよ』
「あと……自分の事を知ってる人に
少しずつ会ってみたい。
高校生からの勉強もやりたい。
大学生なのに勉強わからないから。」
数日考えて
このまま塞ぎ込んでても
何も変わらない気がしていた
何も始まらないなら
自分で始めるしか
方法がない気がする。
やっていく中で
何か思い出すかもしれないから
誰かと話したら
記憶が戻るかもしれない。
怖いけど……
それをしないと
後悔する気がしてしまう
『分かった。先生とも相談してみるよ』
「ありがとう。」
歳が離れてるせいもあり
小さいときからこうして
私の面倒を見てきた
お兄ちゃんだからこそ安心して
相談出来るのかもしれない